PS5向けAIアップスケーリング「QSSR」、旧作への対応は限定的になる可能性

ソニーが発表したPlayStation 5向けのAIアップスケーリング技術「QSSR」は、既存ゲームへの導入が当初の想定ほど簡単ではない可能性があります。開発者は対応にあたってSDKの更新を求められる場合があり、その場合、移植作業や品質確認にかかるコストが普及の壁になると指摘されています。

PSSRと異なり、旧バージョンのSDKでは利用できない可能性

QSSRは、通常のPS5でAIを活用した高画質化を実現する技術です。PS5 Pro向けに提供されている「PSSR」と同様に、ゲームの描画解像度を補い、1440pや4Kといった高解像度出力時の画質向上を狙います。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のグラフィックス研究開発部門でプリンシパルエンジニアを務めるDaniel Craig氏は、既存タイトルへの導入について、比較的簡単な調整で対応できるとの見方を示していました。

しかし、Digital FoundryのRichard Leadbetter氏は、開発環境であるSDKとの互換性が課題になる可能性を指摘しています。QSSRが過去のSDKでも利用できるのか、それとも新しいSDKへの更新が必要なのかによって、既存ゲームへの導入の難易度は大きく変わるためです。

SDKの更新が必要なら対応タイトルは限られるか

Leadbetter氏によると、PSSRでは古いSDKを使用しているゲームにも比較的容易に導入できたため、開発者にとって対応のハードルが低かったといいます。一方、QSSRでSDKの更新が必要になれば、既存タイトルを新しい開発環境に対応させるための移植作業や、その後の品質保証テストが必要になる可能性があります。

こうした作業には数週間を要することも考えられます。発売から数年が経過し、すでに販売のピークを過ぎたゲームでは、画質改善のためだけに追加の開発コストをかけるメリットが小さい場合もあるでしょう。

そのため、QSSRへの対応は、長期間にわたってプレイヤーを獲得し続けている大型タイトルなどに集中する可能性があります。

また、PSSRのように共通のライブラリを利用して一括で適用する仕組みがないのであれば、システム側の設定を切り替えるだけで、対応するすべてのゲームにQSSRを適用することも難しいとみられます。

通常のPS5の画質改善には期待

旧作への対応がどこまで広がるかは不透明ですが、QSSRそのものは通常のPS5にとって重要な進化となりそうです。従来のAMD FSRなどのアップスケーリング技術では、出力解像度を1440pや4Kまで引き上げた際に、タイトルによっては十分な画質を確保できない場合があります。QSSRによって、こうしたゲームの画質が改善することが期待されます。

さらに、PS5と次世代機PS6の両方を対象とするゲームが増える場合にも、QSSRは意味を持つ可能性があります。世代をまたいで展開されるタイトルでも、通常のPS5での画質を一定水準に保ちやすくなるためです。

ただし、実際にどのタイトルが対応するのか、SDKの更新がどの程度必要になるのかは、まだ明らかになっていません。QSSRの効果を多くのPS5ユーザーが実感できるかどうかは、技術そのものの性能だけでなく、開発者が導入しやすい環境が整うかにも左右されそうです。

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