
ソニーが2028年1月から新たなPlayStation向けゲームディスクの製造を終了する方針を示すなか、米国のゲーム市場でパッケージ版の販売が過去最低を記録しました。2026年7月の物理版ゲームの売上高はわずか8500万ドルにとどまり、市場調査会社Circanaが1995年から統計を開始して以来、最も低い水準となっています。急速なデジタル化が進むゲーム市場の現状を示す数字として、ソニーのディスク離れを後押しする材料になりそうです。
7月のパッケージ版売上が過去最低に
Circanaのアナリスト、Mat Piscatella氏によると、7月の米国における物理版ゲームへの支出は大幅に落ち込みました。
PlayStation向けタイトルでもパッケージ版の販売減少は顕著で、7月11日までの週に米国で1万本以上売れたタイトルはわずか2本でした。2026年に入ってからの累計では、10万本を超えるパッケージ販売を記録したPlayStationタイトルは7本にとどまっています。
物理版ゲーム市場全体を見ると、2025年の米国における年間売上高は15億ドルでした。これも過去最低の水準で、2024年から11%減少しています。
さらに長期的に見ると、2008年には116億ドルに達していた物理版ゲームの売上高は、17年間で約87%も縮小しています。インフレを考慮していない名目ベースでも、パッケージ版がゲーム市場の主役だった時代から大きく状況が変わったことが分かります。
物理版市場ではNintendoが強さを維持
現在の米国市場でパッケージ版ゲームが完全に消えたわけではありませんが、その販売先はNintendoのプラットフォームに大きく偏っています。
調査対象期間における物理版ゲームの支出を見ると、Nintendo向けが63%を占めています。PlayStationは32%で続いているものの、Nintendoとの差はかなり大きくなっています。
一方、Xbox向けはわずか4%にとどまっています。Xboxではデジタル販売への移行がPlayStation以上に進んでおり、パッケージ版を取り巻く市場環境は厳しい状況です。
それでもPlayStationはXboxより物理版の存在感が大きく、ゲームディスクを求めるユーザーも少なくありません。そのため、ソニーがディスク製造終了を打ち出した際には、ユーザーや開発者から反発の声も上がりました。
ゲーム機本体の販売も大幅減少
7月はゲームソフトだけでなく、ゲーム機本体の販売も低迷しました。
米国におけるコンソール関連の支出額は前年同月比29%減の2億8200万ドルとなり、7月としては2020年以来の低水準でした。販売台数は前年同月から39%も減少しています。
さらに、新型ゲーム機の平均価格は前年から16%上昇し、542ドルに達しています。ゲーム機そのものの価格上昇が進む一方で販売台数が大きく減っていることから、価格負担の増加が消費者の購入意欲に影響している可能性もあります。
2028年のディスク製造終了を後押しする数字に
今回のデータは、ソニーが2028年1月からPlayStation向けの新規ゲームディスク製造を終了する方針を説明するうえでも、非常に分かりやすい材料となっています。
もちろん、パッケージ版を好むユーザーが一定数存在する以上、ディスク市場がすぐになくなるわけではありません。特にPlayStationではNintendoに次いで物理版のシェアが残っているため、ソニーの決定には反発もあります。
しかし、ゲーム市場全体でデジタル販売への移行がこれほど急速に進んでいる状況では、ディスクの製造から流通、販売までを維持するコストを考えると、メーカー側が縮小を選択するのも不思議ではありません。
一方で、ディスク版には中古販売やコレクション、所有権の確保、ネット環境に左右されにくいといったデジタル版にはないメリットがあります。ソニーがディスク市場を縮小することで、こうした選択肢が失われることを懸念するユーザーがいるのも事実です。
今後の注目は、次世代Xboxが物理ディスクへの対応を維持するのかという点です。もしMicrosoftがディスクを残すのであれば、デジタル化に不満を持つコアゲーマーを取り込むための差別化要素になる可能性があります。
ゲーム市場がデジタル中心へ移行する流れはもはや止まりそうにありません。今回の米国市場の数字は、PlayStationを含むゲーム業界がディスク中心のビジネスモデルから大きく転換する時期に来ていることを、改めて浮き彫りにしています。


