NFCの新仕様「Release 15」発表──通信距離が4倍に拡大、デジタル製品パスポートにも対応へ

NFC Forumは2025年6月18日、新たな通信規格「NFC Release 15」を正式に発表しました。このアップデートにより、NFC(近距離無線通信)の通信距離がこれまでの0.5cmから最大2cmへと約4倍に拡大されます。これにより、決済やスマート家電、ウェアラブルデバイスなど、日常的なNFCの利用シーンにおいて接続のしやすさと安定性が大幅に向上します。


より速く、より確実なタッチ操作を実現

通信距離の延長により、タッチの反応速度が向上。また、機器同士を厳密に位置合わせする必要がなくなり、カバンの中や手袋越しなど、従来よりも難しかった環境でもスムーズな通信が可能になります。

この改善は、スマートフォンによるモバイル決済や改札通過だけでなく、ドアロックの解除やID認証といった場面でも、ユーザーの体験向上に直結します。


新たな活用分野もサポート

NFC Release 15では、従来の用途に加えて以下のような新機能も盛り込まれています

  • スマートフォンがNFC決済端末として機能
  • スマートウォッチやIoT家電などとの接続がよりシームレス
  • 最大1Wまでの小型デバイス向けワイヤレス充電機能を新たに追加

これにより、NFCは単なる通信手段から、小型機器の給電手段としても役割を広げていきます。


デジタル製品パスポート(DPP)にも対応

今後の循環型経済に関する規制に対応するため、「デジタル製品パスポート(DPP)」への対応も本リリースで実現されます。これは製品の製造履歴や修理記録、リサイクル情報などをクラウドと連携して管理するもので、NFC Data Exchange Format(NDEF)を活用した仕組みによって、スマートフォンなどから容易にアクセス・更新が可能です。

既存の多くのスマートフォンはすでにNFC機能を備えており、Release 15への対応はソフトウェアアップデートのみで実現できるよう設計されています。


セキュリティとユーザー意図の確認も引き続き重視

NFC Release 15でも、これまで通りタップや近接をベースとした操作により、ユーザーの明確な意図確認を維持しています。また、暗号化通信の継続利用により、トランザクションや認証時のデータ保護も強化されています。


今後のスケジュール

NFC Forumによれば、NFC Release 15の技術仕様はすでに会員向けに提供されており、2025年秋には一般公開と認証プロセスの開始が予定されています。

今後、スマートフォン、ウェアラブル、家電など多様なデバイスにおいて、NFCの利便性と用途がさらに広がっていくことが期待されます。

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