
中国のAI開発企業DeepSeekが、TencentやCATLなどの出資を受け、150億ドル規模の資金調達を実施したと報じられています。米政府が安全保障上の懸念からDeepSeekの利用制限を強めるなか、同社は資金を確保し、データセンターの拡充や低価格モデルの開発を進める構えです。さらに、上海での株式上場も視野に入れているとされています。
ただし、今回の資金調達額や上場計画については、報道に基づく情報であり、記事の時点で詳細な条件などは明らかになっていません。
TencentやCATLが出資、データセンター拡充へ
Bloombergの報道によると、DeepSeekは当初の調達目標を2度引き上げるほど、国内の大手企業から強い関心を集めたといいます。最終的な出資企業には、メッセージアプリWeChatを運営するTencentや、電池大手のCATLが含まれているとのことです。
調達した資金は、データセンターの拡充や、開発者向けの低コストなオープンウェイトAIモデルの提供などに活用される見通しです。
一方、米国では、中国企業が扱うユーザーデータの管理や安全性をめぐる懸念が高まっています。記事によると、米国土安全保障省は資金調達の報道に先立ち、連邦政府機関に対してDeepSeekのソフトウェアを政府システムから削除するよう指示したとされています。
こうした規制強化が進むなかでも、大規模な資金調達が実現したとすれば、DeepSeekに対する中国国内の投資家の期待が依然として大きいことを示す動きといえそうです。
低価格モデルがAI業界の競争を激化
DeepSeekがAI業界で大きな注目を集めたのは2025年初頭です。同社のモデルは、比較的少ないコストで開発されたにもかかわらず、米シリコンバレーの有力企業が提供するモデルに匹敵する性能を示したとして話題になりました。
特に、モデルの重みを公開し、外部の開発者が利用・改変しやすいオープンウェイト方式と低い利用料金が、DeepSeekの強みとなっています。
AI分析企業Artificial Analysisは、DeepSeekの低価格戦略が競合企業に与える圧力を「DeepSeek death zone」と表現しています。DeepSeekが新たなモデルを投入するたびに、競合各社も価格を引き下げざるを得なくなり、AIサービスの収益性が問われる状況になっているという見方です。
DeepSeekは2023年に、クオンツ系ヘッジファンドの運営に携わっていた梁文鋒氏によって設立されました。短期間で中国を代表するAI企業の一つへと成長した一方、OpenAIやAnthropicなどの米企業からは、独自モデルの出力を許可なく学習に利用したとの疑いも向けられています。ただし、こうした主張と安全保障上の懸念があるなかでも、低価格なAIツールを採用する開発者や企業は存在しています。
上海上場を視野に、AIの価格競争は続くか
DeepSeekが低い計算コストとオープンウェイトモデルを武器に成長を続ければ、AI業界全体の価格設定にも影響が及びそうです。高度な推論能力を持つモデルを安価に利用できるようになれば、従来の月額課金型サービスなどは、価格や提供価値の見直しを迫られる可能性があります。
今回報じられた大型資金調達が事実であれば、DeepSeekは研究開発やインフラ投資を加速させるとともに、上海での上場に向けた準備を進めることになります。米国での規制強化と中国国内からの資金支援という対照的な動きのなか、同社が今後どこまで低価格路線を拡大できるかが注目されます。

