
2020年に発売されたPlayStation 5(PS5)が、AppleのM4 MaxやNVIDIAの小型AIワークステーション「DGX Spark」など、比較的新しいコンピューティング製品をメモリ帯域幅で上回っているとして話題になっています。PS5は16GBのGDDR6メモリを搭載し、帯域幅は448GB/sに達します。
ただし、メモリ帯域幅の数値が高いからといって、あらゆる用途でPS5の性能が上回るわけではありません。各製品は設計思想やメモリ構成、想定する用途が異なるため、数値だけで優劣を判断するのは適切ではありません。
PS5は448GB/sのメモリ帯域幅を確保
PS5は、容量16GBのGDDR6メモリを搭載しています。256bitのメモリバスを採用することで、最大448GB/sの帯域幅を実現しています。
今回取り上げられた各製品のメモリ帯域幅は、次のとおりです。

- PlayStation 5:448GB/s
- Apple M4 Max(32コアGPU構成):410GB/s
- Apple M5 Pro:307GB/s
- NVIDIA DGX Spark:273GB/s
- AMD Ryzen AI Halo:256GB/s
この比較では、PS5はM4 Maxを約9%、Ryzen AI Haloを約75%上回ります。M5 ProやDGX Sparkと比べても、PS5の数値が高くなっています。
もっとも、これらはメモリ帯域幅に限った比較です。CPUやGPUの演算性能、電力効率、ソフトウェア環境などを含めた総合性能を示すものではありません。
ゲーム機と省電力プロセッサでは設計思想が異なる
PS5が採用するGDDR6は、主にグラフィックス処理で大量のデータを扱う用途に適したメモリです。ゲーム機では、描画に必要なテクスチャや各種データを高速にやり取りするため、広いメモリバスと高い帯域幅が重視されます。
一方、薄型ノートPC向けのプロセッサや省電力システムでは、LPDDR5Xなどの低消費電力メモリが広く使われています。こうした製品では、帯域幅だけでなく、消費電力や発熱、バッテリー駆動時間なども重要な設計要素です。
そのため、異なる種類のメモリを採用した製品同士を帯域幅だけで比較しても、実際の処理性能をそのまま判断することはできません。
また、PC向けの高性能グラフィックスカードでは、PS5を大きく上回る帯域幅を持つ製品も存在します。今回の比較は、PS5が最新のコンピューティング製品すべてを性能面で上回っていることを意味するものではありません。
AI用途ではメモリ容量も重要に
今回の比較では、ローカル環境でAIモデルを動かす場合、メモリ帯域幅だけでなく、利用できるメモリ容量も重要だという点が指摘されています。
例えば、NVIDIA DGX Sparkは最大128GBの統合メモリを搭載でき、大規模なAIモデルのパラメータをメモリ上に保持する用途に適しています。一方、PS5のメモリ容量は16GBで、ゲームの描画やシステム処理などに使用されます。ゲーム機の限られたメモリを、大規模AIモデル向けのメモリと同じように扱うことはできません。
また、Xbox Series Xはメモリ帯域幅が最大560GB/sに達する構成を備えています。ただし、これは10GB分のメモリ領域における数値であり、メモリ全体が同じ帯域幅で動作するわけではありません。こちらも、単一の数値だけでシステム全体の性能を評価するのは難しい例といえます。
PS5のメモリ帯域幅が、発売から約6年が経過した現在でも高い水準にあることは確かです。しかし、ゲーム向けに最適化されたメモリ構成と、省電力性や大容量メモリを重視するAIシステムとでは、求められる性能が異なります。帯域幅の比較は興味深い指標ですが、製品の実力を判断するには、用途やメモリ容量、実際の処理性能も含めて見る必要があります。

