
Android向けのPlayStation 2エミュレーター「ARMSX2」がバージョン2.8.3に更新され、GPUドライバーの対応機種が拡大しました。これまでSnapdragon搭載端末に比べてエミュレーション性能を引き出しにくかった、Mali GPU搭載のスマートフォンやタブレットでも、ゲームの動作改善が期待できます。
今回のアップデートでは、対応GPUの拡大に加え、ゲームを一時停止したままアプリをバックグラウンドに置くと、バッテリーを大量に消費する不具合も修正されています。
Mali GPU向けドライバー「MaliSX2」に対応
ARMSX2の開発チームは、GitHubで公開したバージョン2.8.3に、Mali GPU向けのVulkanドライバー「MaliSX2」を追加しました。アプリ内の「設定」から「Renderer」を開き、GPUドライバーの一覧で選択できます。
Android端末でゲームエミュレーターを動かす場合、Snapdragon搭載機が有利とされてきました。Snapdragon向けには、標準ドライバーよりも性能や安定性の改善が期待できるカスタムドライバー「Turnip」が提供されているためです。
一方、MediaTek製チップなどに採用されているMali GPUでは、同様の恩恵を受けにくいという課題がありました。今回のMaliSX2対応は、こうした端末でPS2ゲームを遊びたいユーザーにとって朗報となりそうです。
対応GPUが拡大、動作が難しかったゲームも改善
開発チームによると、MaliSX2を利用することで、多くのゲームにおいてシステム標準のGPUドライバーよりも高い性能が期待できるとのことです。
具体例として挙げられているのが、「エースコンバット4」と「エースコンバット5」です。従来の環境では実用的に動作させることが難しかったものの、MaliSX2の導入によってフルスピードで動作するようになったと説明されています。
MaliSX2自体は以前のバージョンにも「libmali」という名称で組み込まれていましたが、当時の対応GPUはMali-G615とMali-G715に限られていました。今回の更新では、次のGPUも新たにサポート対象に加わっています。
- Mali-G57
- Mali-G68
- Mali-G77
- Mali-G78
これにより、比較的新しい端末だけでなく、旧型のPixelやGalaxyの上位モデル、一部のSamsungやMotorolaの低価格端末などでも、性能改善を期待できるようになります。また、Android搭載ゲーム機のANBERNIC RG477MやLenovo Cloud Gaming C700も恩恵を受ける可能性があります。
ただし、実際の動作速度や互換性は、搭載チップやゲームタイトル、端末ごとの環境によって異なります。すべてのゲームで同じように改善するとは限りません。
バックグラウンドでの異常なバッテリー消費も修正
今回のアップデートでは、性能面だけでなく、バッテリー消費に関する不具合も修正されました。
これまでは、ゲームを一時停止してアプリをバックグラウンドに移した状態で、電力を大量に消費する問題が発生していました。Retroid Pocket 6では、一晩放置しただけでバッテリー残量が76%から0%まで低下した事例も報告されています。
この問題が修正されたことで、ゲームを中断した際の使い勝手も改善されるとみられます。
今回のARMSX2の更新は、Snapdragon搭載端末以外でPS2エミュレーションを楽しみたいユーザーにとって、対応機種と実用性の両面で重要なアップデートとなりそうです。特にMali GPUを搭載した旧型スマートフォンやAndroidゲーム機を使っている場合は、MaliSX2を試す価値がありそうです。
