
ソニーが、プレイヤーのゲーム内での行動データを利用して、NPCの外見や行動をAIで変化させる技術の特許を出願しています。プレイヤーごとの行動傾向をAIが分析し、それに合わせてNPCを進化させる仕組みで、将来的にはプレイヤーによってゲーム内の敵やキャラクターの振る舞いが変わる可能性があります。
今回の特許は、AIによってゲーム内のNPCを適応させる技術に関するもので、ゲームプレイ中に生成されたデータを利用してNPCを調整する仕組みが説明されています。現時点で製品への採用は決まっていませんが、次世代機となるPS6で実装される可能性を期待させる内容です。
会話だけでなく外見や戦闘までAIで変化
近年はゲームへのAI導入が進んでいますが、今回のソニーの技術は、単純にAIへNPCとの会話を生成させるものとは異なります。

例えばNVIDIAが開発しているAI NPC技術では、大規模言語モデル(LLM)を利用してNPCとの会話をリアルタイムに生成するアプローチが中心です。一方、ソニーが特許で説明しているシステムでは、NPCの外見や性格、行動パターン、さらには戦闘時の振る舞いまで幅広く変更できる可能性があります。

プレイヤーがどのようにゲームを進めているのかをAIが分析し、そのデータをNPCの行動へ反映させることで、あらかじめ大量のスクリプトを用意しなくても、より人間らしく状況に適応するキャラクターを実現することが狙いです。
PS6世代でゲーム体験が変わる可能性
ソニーはこれまでにもゲーム分野でAIを活用するさまざまな技術を特許として出願しています。今回の技術も、もし実用化されるのであれば、より高い処理性能を持つ次世代ゲーム機のPS6と組み合わせることで、その真価を発揮する可能性があります。
PS6でこの仕組みが採用された場合、NPCを単純に決められたスクリプトで動かすのではなく、プレイヤーの行動を分析しながらリアルタイムで振る舞いを変化させるゲームが実現するかもしれません。
例えば、プレイヤーが特定の攻撃パターンを繰り返している場合、ボスがその戦い方に対応するようになったり、ステルスを多用するプレイヤーに対して敵が警戒行動を変えたりするといったことが考えられます。
ホラーゲームなら、プレイヤーがどのような状況で逃げるのか、どの方向へ移動するのかといった傾向を敵が学習し、次第に追い詰め方を変えてくるといったゲームプレイも考えられます。
開発コストの削減も狙い
この技術には、プレイヤーに合わせたNPCを実現するだけでなく、ゲーム開発の負担を減らすという目的もあります。
リアルなNPCを作り込むには、膨大なスクリプトやプログラミングに加えて、キャラクターの行動を追跡したり、アニメーションさせたり、状況に応じて変化させたりするための複雑なシステムが必要になります。
AIにこうした処理の一部を担わせることで、開発者があらゆる行動パターンを手作業で作り込む必要を減らせるとソニーは考えています。大規模化が続くゲーム開発において、開発期間やコストを抑えながらNPCのリアリティーを高められる点も、この技術の大きな狙いといえます。
一方で、プレイヤーの行動データをAIの学習に利用することには、プライバシーやセキュリティーの問題もあります。特にAI処理をクラウド上で行う場合、ゲーム中の行動データを外部へ送信する必要が生じる可能性があります。
また、今回の特許が実際にPS6へ搭載されると決まったわけではありません。ソニーが出願した特許が必ずしも製品やゲームとして実用化されるとは限らないため、現時点ではPS6世代に向けた技術の一つとして見るべきでしょう。
それでも、PS6でAIを活用したゲーム体験が本格化すれば、プレイヤーの行動そのものがNPCの学習材料となり、同じゲームでも人によって敵やキャラクターの振る舞いが変わる時代が到来する可能性があります。

