
Microsoftは、Windows 11の日常的な操作を高速化するための改善を進めています。最新のアップデートでは、システム全体の応答性を最大20%向上させるほか、メモリ管理にも手が加えられ、特にRAMを8GBしか搭載していないPCでの動作改善が期待されています。
メモリ容量の少ないノートPCでは、複数のアプリを同時に使用すると動作が重くなりがちです。今回の改善では、Windows 11自体のメモリ消費を抑え、普段使いでの快適さを高めることが狙いです。
スタートメニューやエクスプローラーの応答性を改善
MicrosoftのWindows部門でエクスペリエンス担当コーポレートバイスプレジデントを務めるNavjot Virk氏は、10月15日付の公式ブログで、Windows 11の日常的な操作体験を改善する取り組みについて説明しました。
同社は新しいビルド26300.9550を従来のソフトウェアと比較し、スタートメニューの表示やエクスプローラーでのファイル閲覧、システム検索、設定画面の操作、右クリックメニューの表示などで、応答速度が向上したとしています。
今回のアップデートには、こうしたパフォーマンス改善に加え、写真アプリの刷新やBluetooth機器のペアリング高速化、タスクバーの配置変更オプションなども含まれています。
また、ゲームの起動時に発生するシェーダーのコンパイル待ち時間を減らすため、コンパイル済みシェーダーの配信にも対応します。これにより、「Forza Horizon 6」などの対応ゲームで、ロード時間の短縮が期待できます。
8GBメモリのPCでバックグラウンド処理を削減
今回の改善で特に注目されるのが、メモリ容量の少ないPCを対象とした最適化です。
Windows 11では、使用中のデータをできるだけ高速なRAM上に保持するようメモリ管理を改善しています。報道によると、従来より最大2GB多くのアクティブデータをRAM上に保持できるようになり、ストレージへの退避によって発生する速度低下を抑えられるとされています。
これにより、複数のアプリを切り替えながら作業する場合でも、ブラウザーのタブやバックグラウンドで動作するツールの応答性を維持しやすくなります。
さらに、RAMが8GB以下のPCでは、ウィジェットボードをバックグラウンドで事前読み込みする動作を停止します。この変更だけで、起動直後から200MB以上のメモリを節約できるとされています。
Windows 11は、機能の追加やバックグラウンド処理によってメモリ消費が増えやすいという課題を抱えてきました。今回の対策は、Windows部門責任者のPavan Davuluri氏が以前から示していた、OSの動作を軽量化する方針に沿ったものです。
メモリ価格の高騰も背景に
Microsoftが8GBメモリ搭載PCの最適化を進める背景には、世界的なメモリ不足もあるとみられます。
AIデータセンター向けの需要拡大によってDRAMの供給が逼迫し、メモリ価格が上昇しています。PCメーカーにとっては、搭載メモリを増やすほど製品価格が高くなるため、低価格帯では8GBメモリを採用したモデルを販売し続ける必要があります。
こうした状況では、ハードウェアの増強だけでなく、OS側の最適化によって限られたメモリを有効活用することも重要になります。
もっとも、今回の改善によって8GBメモリの制約がなくなるわけではありません。ウェブ閲覧や文書作成などの一般的な用途では効果が期待できる一方、4K動画の編集やローカル環境でのAIモデル実行など、メモリを大量に消費する作業では依然として容量不足に直面する可能性があります。
Windows 11の動作を軽くする今回の取り組みは、メモリ増設が難しい低価格PCのユーザーにとって歓迎すべき改善です。今後、こうした最適化によって、8GBメモリ搭載PCでも日常的な作業をどこまで快適にこなせるようになるかが注目されます。

