
「Travis」採用で飛躍的な性能向上の可能性
Xiaomiが開発中とされる次世代チップ「Xring」に、Armの最新CPUコア「Travis」が採用される可能性が浮上しました。著名リーカーであるDigital Chat Station氏が中国SNSで伝えたもので、XiaomiはすでにArmのアーキテクチャ使用許可を得ており、「Travis」の統合に向けて準備を進めていると見られています。

Armは、今年9月に「Travis」コアを正式発表する見通しで、現行の「Cortex-X925」に代わる新たなスーパーコアとして注目を集めています。Armによれば、TravisはIPC(1クロックあたりの命令実行数)が2桁台で向上し、電力効率にも大きな進化をもたらすとのこと。また、AI処理や機械学習で活躍する「Armv9」アーキテクチャのSME(スケーラブル・マトリックス・エクステンション)にも対応します。
Xring O1からの大幅アップグレードへ
Xiaomiは今年初め、自社初のカスタムチップ「Xring O1」を発表しており、こちらはCortex-X925ベースの構成でした。今回の「Travis」への移行が実現すれば、Xringシリーズにとっては初の本格的な世代交代となり、パフォーマンスと電力効率の両面で大きく前進することになります。
特にIPCの向上は、スマートフォン向けSoCにとって重要な要素です。高いIPCは、同じクロック周波数でより多くの処理を行えるだけでなく、処理性能を維持しながら電力消費を抑えることも可能にします。発熱やバッテリーの制約が大きいモバイル環境では、その影響は非常に大きいといえるでしょう。
Travis発表は通常より遅れる見通し
通常、Armは毎年5月〜6月頃に最新のCPU・GPU IPを発表するのが通例ですが、今年の「Travis」は9月発表と、やや異例のタイミングが見込まれています。これは開発サイクルの変更や戦略的な発表時期の見直しによるものと考えられています。
もしTravisの搭載が実現すれば、XiaomiのXringはQualcommやMediaTekといった他社のフラッグシップSoCに真っ向から対抗できるレベルに到達する可能性があり、同社の半導体分野における野心が本格化していることを示す大きな一歩となりそうです。